避難先はペット受け入れ可能か?ペット同行避難 完全マニュアル
ペット同行避難を環境省のガイドラインをもとに詳しく解説していきます。
まず災害発生時、人命が第一ですがペットの命は飼い主さんしか守れません。
だから飼い主さんはペット同行避難について正しい知識を身につける必要があります。
平常時(普段から)の飼い主の役目・災害時の飼い主の役割
国がペット同行避難を推奨する理由
阪神淡路大震災や東日本大震災などの過去の災害を振り返り、ペットが飼い主と離れ離れになってしまうケースが多数発生しました。
いなくなったペットの捜索や、保護には多大な労力と時間を必要とするだけでなく、捜索途中にペットが負傷し衰弱で亡くなるケースもあります。
また避妊や虚勢をしていない場合繁殖で増殖するために公衆衛生上よくありません。このような事態を防ぐ為に災害時のペット同行避難を推奨することはとても重要であり、ただ単に動物愛護の観点で保護を目的にするのではなく、人への危害防止や生活環境保全の観点からも必要な措置であります。
普段から飼い主が行う防災対策
(ペットの命を守る為には飼い主さんの防災が重要です)
家の防災対策
家具の固定
家具が転倒しないように壁などに出来るだけ固定をしましょう。
転倒防止の金具や伸縮の突っ張り棒などを使用し、本棚、下駄箱、タンス、冷蔵庫などは転倒防止の対策を必ずしましょう。
家具の配置の工夫
寝室や子供部屋などにはなるべく背の高い家具は置かないようにしましょう。
また出来るだけで入り口を塞がないように配置に工夫をしましょう。
就寝中の対策
懐中電灯やスリッパ、寝室には出来れば予備の靴なども用意しましょう。
暗闇で窓ガラスや、ガラス類の破片やその他壊れたもので足を怪我しない為です。
屋外でペットを飼っている方
ブロック塀や物置、ガラス窓、倒れやすい物がないか普段から注意をする事や鎖や首輪が外れたり切れたりして外に逃げ出す恐れがないか確認が必要です。
ペットのしつけ
不必要に吠えない
宅配便や知らない人が来客した際に吠える子は避難所でも吠えるケースがありますので普段から不必要に吠えないようにしつけをしましょう。
簡単なしつけ
(待て)や(おいで)(おすわり)(伏せ)など簡単なしつけは身につけておきましょう。
ケージやクレート
ケージやクレートに入れない子はずっと飼い主さんが抱っこをしなくてはいけなく、他の人に預けられない場合があります。
普段からおやつはクレートやゲージなどであげて少しでも慣れるようにして下さい。
人に攻撃的にならない
災害時、ペットも極度のストレス状態になり攻撃的になる場合があります。攻撃的になる子は避難所での共同生活が難しくなりますので、注意が必要です
決められた場所で排泄
決められた場所で排泄が出来ない子は室内での避難が難しくなります。また避難所が学校などの場合、周辺での散歩も難しくなるケースもあります。大型犬を飼っていらっしゃる方は排泄のトレーニングは必ずしましょう。
狂犬病予防接種や各種ワクチン摂取を行う
避難所や仮設住宅では様々な方が一緒に共同生活をする為に動物が苦手な方やアレルギーがある方もいらっしゃるので飼い主さんは最低限のワクチンは必ず摂取しましょう。
ワクチンを接種していない子は各種・動物愛護団体から保護を断られるケースもありますので十分に理解をしましょう。
予防接種
ノミ、ダニ、犬フィラリアなどの寄生虫の予防や駆除を普段から行う。
ペットの健康管理
ペットから感染する病気(動物由来感染症)
ヒトと動物の両方にかかる病気をまとめて、「人畜共通感染症」「人獣共通感染症」「ズーノーシス」などと言います。
ヒトの立場から見たとき、「動物から感染する病気」ということで、動物由来感染症といいます。
普段から清潔に保つ
ブラッシングは毛のある動物の手入れの基本ですので必ずしましょう。また、成犬などは、月に1度程度のシャンプーが必要です。これによりノミやダニの感染を防ぐ効果があります。またペットのカゴ(小屋、オリ)、タオル、水槽なども清潔に保ちましょう。
その他室内で飼っている場合には、羽毛や乾燥した糞が飛び散ったりしますのでご家庭の掃除もこまめにしましょう。
主な感染症
- オウム病
小鳥がもつ微生物のクラミジアによって感染。肺炎に移行し、死にいたることも。オウム病とは言っても、インコからの感染がほとんどで、空気感染のため、病気の小鳥やその死体・鳥かごを放置して感染するケースが多い。
- アメーバ赤痢
東南アジアやアフリカの国々から輸入されてくるミドリガメや猿から感染。感染すると、粘膜と血液の混じったイチゴゼリー状の粘膜便の下痢が生じる。肝臓や肺、脳などで増殖して膿瘍を起こすことも。
- イヌ・ネコ回虫症
主な感染経路は、(1)犬や猫の回虫卵で汚染された砂が直接口から取り込まれる、(2)犬や猫の体毛に付着した回虫卵が体毛とともに散布され人の口に入る、(3)鶏の肉や牛の肝臓などを人が生で食べて感染する。感染すると視力障害や肝臓の腫れ、発熱を起こすことがある。
- トキソプラズマ症
トキソプラズマが排出した寄生虫の卵のようなものが、猫の糞の中に混じって口から入ったり、羊や豚などの肉を十分に熱を加えないまま食べることで感染。妊娠中に感染すると、流産したり生まれてくる子供に障害がでることもある。
- ネコひっかき病
猫に噛まれたりひっかかれたりした傷から感染。首やわきの下のリンパ節の腫れ、発熱、倦怠、さらには脳症や肝臓の腫瘍などを引き起こす。(引用:大阪獣医師会HP)
不妊・去勢手術を行う。
飼い主さんの判断にゆだねられますが、避難所では様々な動物がいる為トラブルの原因になる場合もありますので、十分に注意をしましょう。
猫の場合
上記内容に加え、普段からあまりケージやクレートに入る習慣がないので慣れさせるのに時間がかかると思いますが、おやつをクレートであげるなど工夫をして下さい。また洗濯用のネットも必ず用意して下さい。飛び出して逃げない対策をする為です。
ペットが迷子にならない為の対策
災害時、必ずペットと同行避難が出来るとは限りませんので対策をしましょう。
首輪と迷子札
普段から首輪が緩くなっていないか、切れそうになっていないか注意をし、予備の首輪も準備し、首輪には迷子札をつけましょう。
鑑札や狂犬病予防注射済票
飼い犬は狂犬病予防法により鑑札の装着や年一回の予防注射、及び注射済票の装着が義務づけられていますのでコピーなどを非常持ち出し袋に入れましょう。
マイクロチップの装着
体内に装着する為に脱落の可能性が低いのでとても有効です。
ペットの写真
迷子になった際に探すのに有効になるので、非常持ち出し袋に写真やペットの特徴を書いた手帖を用意しましょう。
ペット用の避難用具や備蓄品の準備
避難所にペット用の備蓄品や避難用具はありません。飼い主さんが普段から必ず災害に備えてペット用の非常持ち出し袋を用意しましょう。
災害時には人命が優先になる為にペット用品の物資が届くまでに時間がかかる場合があります。
*東日本大震災では震災初期にはペット用の救援物資を運ぶ車両が緊急車両として認め られず、ガソリン不足も加わり救援物資がすぐに届かなかったという報告もあります。
ペット用の備蓄品
- 療法食、薬 (くすりの名前などは必ず控えておく)
- フード、水(少なくとも5日分[できれば 7 日分以上が望ましい])
- 予備の首輪、リード(伸びないもの)
- 食器 やウエットティッシュ
- ガムテープ(ケージの補修など多用途に使用可能)
- 飼い主の連絡先とペットに関する飼い主以外の連絡先・預かり先などの情報
- ペットの写真(携帯電話に画像を保存することも有効)
- ワクチン接種状況、既往症、健康状態、かかりつけの動物病院などの情報
- ペットシーツやトイレ対策・排泄物の処理用の袋(猫の場合、砂を用意)
- タオル・おもちゃ・洗濯ネット(猫の場合)ブラシ
避難所や避難ルートの確認や準備
災害が起こる事前に避難所の確認
自分が住んでいる地域の避難先はペット同行避難が可能かどうかを事前に知っておくことはとても重要です。もし避難先が同行不可の場合、別の場所を事前に探しましょう。
ハザードマップの確認
最低限、一度はハザードマップを確認して自分が住んでいる地域の地形や危険な個所の把握をしておきましょう。
また携帯電話に防災アプリなどを入れ情報取集が出来るように準備をしましょう。
避難ルート
海や河川の近くにお住まいの方は高台へまでの避難ルートや所要時間などを事前に把握しましょう。また山やダムの近くの方は土砂災害や放水などにも十分注意をしましょう。
防災訓練には積極的に参加しましょう。
自治体や地域で防災訓練がある場合は積極的に参加をしてペット同行避難が可能か可能でないかなどを知りましょう。
また防災訓練を通じて行政や自治体との課題や問題点を見つけ今後の防災に役立てましょう。
その他地域の方と普段から積極的にコミュニケーションをはかり、災害があった際にはお互いに協力できる環境を作りましょう。
また近くの避難所はペット同行避難が出来ない場合は事前に親戚や友人など一時預けができる場所も事前に探して準備をしましょう。
災害時要援護者支援の登録
登録・名簿台帳の作成にあたり
台帳は市区町村が作成し地域に情報提供します。
台帳には個人情報が掲載される為に同意書に同意が必要となりますので注意が必要です。
校区福祉委員会や町会や消防団や消防機関、社会福祉協議会などが含まれる場合があります。(市町村が地域支援組織と協定を締結した組織・災害時は警察、自衛隊など救助活動を行う機関に情報提供をする場合があります)
注意事項
本制度はあくまでも普段からの地域の助け合いやコミュニケーションによって少しでも災害時の被害をへらそうとするものです。災害の規模や状況により、支援者が被災者になるケースもあります。
(1) 同意によって災害時の避難行動の支援等が必ずなされるものではありません。
(2) 地域支援組織は法的な責任や義務を負うものではありません。
まとめ
防災の基本は、「自分の命は自分で守る」です。ペットを飼っていらっしゃる方はペットの命は飼い主さんしか守れません。ペットを飼っている方に限らず、ご高齢の方や支援を希望される方自身も、日頃から災害発生に備えておくことや、地域の方々とお互いに顔が見える関係を築いておくことが不可欠です。昨今、地域コミュニティーが希薄になりつつありますが、ご近所付き合いについてもう少し一人一人考えてみませんか?
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